これから働こうと思い求人情報を見ているのですが、資格を必要とする求人は少し給与が高く感じます。また、子どもをひとりで育てるので、資格を取れば安定した仕事につけるかもと考えたりも。資格を取ったほうがよいでしょうか。
A. 適性・条件を見て、必要なら取得を
働こうと求人を見たりと行動していてがんばっていますね! ひとりでお子さんを育てるに当たって、良い条件の仕事が見つかると安心ですよね。見ているうちに、資格があったほうが安定した仕事につけるのではないか、と思いはじめたのですね。ひと口に資格と言っても、どんな資格かによって事情は違うので、注意が必要です。少しご説明しますね。
必ずしも資格がなくても同じように働ける職種もあります。シングルマザーが持っていてよかった、と答えている資格を、全国母子世帯等調査から挙げてみましょう。
役に立っている、とシングルマザーが答えている資格は、「作業療法士」100%、「看護師」97.4%、「准看護師」97.1%、「介護福祉士」89.1%、「理・美容師」73.7%、の順に高くなっています。
ここに挙げた資格は、医療系の資格や介護系の資格で、この資格を持っていないとその仕事ができないような国家資格です。こうした資格は、資格取得のために2年、あるいは3年の修学期間が必要なものが多いのです。ですから、資格取得のためには、学校に通学し、学費を払い、厳しい実習を受け、国家試験に合格しなければなりません。それだけ、報酬も高くなります。
そのほかにも、社会福祉系の仕事をする際に役立つ社会福祉士(あるいは精神保健福祉士)の資格を取るには、大学卒業後、専門学校に通うことなどが必要です。困窮者支援やスクールソーシャルワーカーなどの社会福祉士は今後も増えそうです。また就労相談のニーズもあるので、キャリアコンサルタントなどの資格を取得する人も見かけます。
資格あり、と答えた人が多かったのは、簿記、ホームヘルパー、パソコン医療事務、などです。これらの資格について、「資格が役に立っている」と答えた人は、48~62%くらいになります。母子家庭の母向けの講座が各地で開かれていますが、簿記や医療事務、パソコンなどの講座は比較的、数が多いです。これらの仕事は、資格がなくてもできます。資格取得のためには、半年くらいの研修や講座の受講が必要です。
(就労支援についてはこちらの記事で詳しくまとめています。よかったらご覧になってくださいね)
資格取得の前に、その資格を取得した人の働く時間(残業が多いかどうか)、土日の勤務状況、報酬、就職率(仕事があるのか、少なくなっているのか)、具体的な業務の内容なども、経験者や業界にくわしい人に聞いておいたほうがいいです。
例えば、看護師の仕事は、土日勤務や夜勤もありとてもハードです。高い学費を払った後に、実際働いてみてやっぱり向いていないからと辞めることにもなりかねません。自分がその仕事に向いているのか、条件だけでなく、適性もよく考えましょう。
その資格に適性があると感じたら、国の資格取得支援の制度(「高等職業訓練促進給付金制度」「自立支援教育訓練給付金事業」)があるので、上手に活用しましょうね。児童扶養手当支給者や同等の所得の方が対象です。支援対象の資格は自治体により異なりますので、担当の役所(子育て支援課など)や母子父子自立支援員さんに相談しましょう。事前の相談で支援が認められないと支給されないため、資格の学校の手続きをする前に必ず相談しましょう。
【支援制度】自治体のひとり親支援の担当課で相談
●高等職業訓練促進給付金制度
資格(看護師・保育士・歯科衛生士・介護福祉士・社会福祉士・美容師など、自治体ごとに対象が異なる)を取得するための養成機関で勉強している期間に生活費の支援を受けることができます。住民税非課税世帯には月額10万円、住民税課税世帯は月額7万500円が支給されます。
来年この制度を利用して学校に通いたいと思ったら、事前に自治体の母子父子自立支援員さんに相談しましょう。児童扶養手当受給者あるいは同等の所得の方が対象です。
●自立支援教育訓練給付金事業
資格取得のための講座を受けた場合に、受講料の費用を一部負担してもらえる制度。受講前に申請が必要で、認められれば一部費用を受給できます。児童扶養手当受給者か同等の所得の人が対象です。手続きは、役所の担当窓口(子育て支援課など)で行いましょう。
【支援制度】ハローワークを通じて受講できる訓練
公共職業訓練や委託訓練なども、条件が合えば失業給付を受けながら受講することができます。
●公共職業訓練
主に雇用保険を受給している求職者の方が職業訓練によるスキルアップを通じて早期再就職を目指すための制度です。
●専門人材育成訓練制度
2018年度(平成 30 年度)から実施している1年間または2年間の長期コースの訓練です。非正規労働者の方々の正社員就職の実現を目指すものとして注目されています。介護福祉士、調理師、税理士、美容師、アスレチックトレーナーなど長期間のトレーニングが必要な技術が学べます。
●求職者支援制度
求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者の方に対し、無料の職業訓練(求職者支援訓練)を実施し、一定の支給要件を満たす場合は給付金を支給するとともに、ハローワークによる就職支援により、安定した就職を実現するための制度です。月々10万円プラス交通費が支給されます。