中学生になる子どもが、部活動仲間数名から、ときどき嫌がらせを受けています。子どもはあまり大ごとにしたくないと話していますが、親としては見過ごすことができず、どうしたらいいか悩んでいます。
A. 考える時間、応援する人を確保して
本来は楽しいはずの部活動が、お子さんにとってつらい場になっているのですね。親としては、いてもたってもいられない気持ちだと思います。
学校、特に部活動での様子は教師の目が届きにくい場合もあり、お子さんの心身の状態が気になります。「うちの子が悪いのか」「悪質ないじめになったら……」「相手はどういうつもり?」と、さまざまな思いがこみ上げるでしょう。
ここはまず、話してくれたお子さんの気持ちを第一に受けとめ、どんなときも味方であることを伝えましょう。本人を飛び越えて、相手やその保護者と直接やりとりをすることは、もっとも避けなければなりません。
このケースでは、部活内だけのトラブルに限らない可能性もあるので、改めて担任の先生に連絡しましょう。一方で、お子さんの語りのペースに合わせ、どんなことをされてどう感じたか、それはいつ、どこで行われたかを聞き、記録を残すようにします。
今はSNSなどでの「見えにくいいじめ」もあります。ネット上でそうしたやりとりがあったら、画像保存しておくことも重要です。
学校とは、その内容をもとにして話し合いを進めていくようにします。平成25年(2013年)「いじめ防止対策推進法」が公布され、学校や自治体の責務が明確化されました。教職員には、迅速で組織的な対応が法的にも求められています。
思うような改善が望めない場合は、担任だけでなく学年主任や管理職に連絡して、状況を確認しましょう。学校内でどのような対応が行われているのかを把握することが大切です。これはあくまで例ですが、「お互い謝るように指導しました」など、表面的な対応で終わっている場合もあります。冷静に、お子さんの現状を伝えながら、事実の確認を行いましょう。
学校の取り組みに疑問があれば、教育委員会(スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー)等や、各種電話相談、児童相談所・法務局・警察等の外部機関の力を借りることも可能です。
重要なのは、子どもの様子に気を配りながら、的確に対応することのできる大人を少しずつでも増やしていくことです。
いじめは集団で行われ、さまざまな立場の人が関わるため、改善に時間を要し、こじれてしまうことがあります。お子さんの意思を尊重し、同意を得ながら事を進めていき、万が一、身の危険を感じることがあったら、「学校を休む」「転校する」という手段もあることを忘れないでください。
(土屋佳子 日本社会事業大学客員准教授)
インフォメーション
●24時間子供SOSダイヤル
いじめやその他、子どものSOS全般に悩む子どもや保護者等が、いつでも相談機関に相談できるよう、夜間・休日を含めて、いつでもつながる。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関に接続される。
電話番号は0120-0-78310
webサイトはhttps://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm
●子どもの人権110番
「いじめ」や体罰、不登校や親による虐待に対して、解決に導くための相談を受け付けてくれる。子どもだけでなく大人も利用可能。電話は、最寄りの法務局・地方法務局につながり、法務局職員または人権擁護委員が対応してくれる。相談は無料、秘密は厳守。メール相談あり。
電話番号は0120-007-110(平日8:30〜17:15)
webサイトはhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
●チャイルドライン
18歳までの子どものための相談先。抱えている思いを誰かに話すことで、少しでも楽になるよう、気持ちを受けとめてくれる。子どもの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれ、お説教や命令、意見の押しつけはしない。名前や連絡先や学校名は、言わなくてOK。相談・通話は無料、秘密は厳守。チャット、つぶやきも受付。
電話番号は0120-99-7777(16時〜21時)
webサイトはhttps://childline.or.jp/
回答者プロフィール
土屋 佳子 社会福祉士
日本社会事業大学客員准教授・同大学専門職大学院非常勤講師、早稲田大学非常勤講師等。東京都都立高校自立支援チーム統括スーパーバイザー(SV)、福島県等スクールソーシャルワーカー(SSW)・SV、東京都生涯学習審議会委員等。東京都清瀬市教育委員。社会福祉士。