2019年の夏に夫が突然亡くなりました。
子どもたちが夏休みを楽しみにそわそわし始めた7月のさなか、夫は突然の死というかたちでこの世を去り、私は突然ひとり親になりました。
その頃のことを思い出そうとしても、うまく思い出すことができません。記憶も断片的で、私は自分の心を守るために思い出さないようにしているのかもしれません。
ひとりで子育てをするなんて微塵(みじん)も思っていなかったので、たくさんの手続きがすんだころ、自分は正常に眠れていないことに気がつきました。
そして、中学2年生だった息子は同じように不眠に悩まされていたこと、もうすぐ中学3年生になること、あの日から小学2年生の娘は泣くことができなくなっていたこと、私は世帯主でありこの子らを育てていかねばならないこと、現実がどっと押しよせてきてパニックになりました。
精神的な要因で痙攣(けいれん)を起こし、母親である自分が入院してしまい、子どもたちには本当に不安な思いをさせてしまったことを今でも後悔しています。「自分だけで」と背負いすぎていた、それが原因だったと今ではわかります。
「ひとりで」はなんて不安で心細いことか……。心が落ちついた頃にまず考えたことは、これからどうやって生きていけばいいのかということです。とにかくインターネットの検索窓に「ひとり親」と打ちこみ、たくさんの情報を調べる毎日となりました。
受験生となる息子について、高校生でも給付してもらえる奨学金や、ひとり親の子に対する優遇措置のある学校、とにかく心配しながら受験を迎えさせることを避けたい一心でした。その中で今までは知らなかったいろいろな団体による支援を知りました。
ちょうどコロナ禍に突入し、自分のパートの仕事も不安定になった時、食料支援は本当にありがたかったです。子どもたちに、文房具や本をいただいたこともありました。この世の中の顔も知らない誰かが自分を支えてくれていると思うと、それだけで心があたたかかったです。
娘の心も心配だったけれど、いろいろなひとり親のイベントにオンラインで参加する機会も増え、さびしくなくなり、お母さんしかいなくても頑張っている子がたくさんいると知ることができて、とても良い経験となりました。
あれから4年が経過しました。
今、あの頃の自分に伝えたいと思うのは「本当につらい時、助けてと言っていいんだよ」ということです。今、同じ思いをしている誰かに伝えたいです。
心細くて、さびしくて、でも誰にも言えなくても、きっとその気持ちや声をくみ取ってくれる誰かがいます。どうぞ、少しだけ誰かに苦しさを伝えてください。ひとりじゃないです。
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