娘へありがとうと伝えたいです。
私は小さいころから、自分の気持ちを伝えたり人に頼ったりすることがすごく苦手です。そのため、ずっと生きづらさを感じていました。結婚生活も全くうまくいかず、妊娠初期に離婚という自分にとって最悪な状況になってしまいました。
実家もなく、頼れる人や場所を見つけられないまま、不安な気持ちや困っていることを周りに悟られないようにして、妊娠期を過ごし出産しました。そして生まれてきた赤ちゃんを見て、このままひとりでがんばろうと決めました。
ところが、子育ては全然思うようになりませんでした。泣いている娘を抱いては、泣く理由がわからずあれこれ試して途方にくれ、重大な病気ではないかと心配になりました。すやすや寝ている娘を見ては、このまま死んでしまうのではないかと不安になり、心臓が動いているか息をしているか何度も確かめました。
そのような生活をしているうちに、1か月健診がありました。娘に異常は見つからずホッとしたのも束の間、私の心配をされました。気がつけば私は体重が妊娠前より落ちて明らかにげっそりしていました。精神的にも追いつめられていたようで、思わず涙があふれてしまいました。
これまでの私であれば、人前で泣くなんてありえないことでした。それでも「おかあさんが元気じゃないと赤ちゃんがかわいそう」というようなことを言われ、娘のためという言い訳を自分自身にしながら、困っている状況を訴えました。
それからは状況が一気に改善しました。児童扶養手当など申請しないともらえないお金について知り、シングルマザーを支援する団体などいろいろな団体につながり、経済的にも精神的にも安心を得ることができました。
ひとりでがんばろうとした私も認めてあげたいです。一方で、どうしてあんなに意地を張っていたのか、見栄っぱりにもほどがある、と以前の私にあきれています。娘のおかげで、素直に自分をさらけだすことの大切さがわかったので、娘にありがとうと伝えたいです。
T.K