小さな頃からじじ、ばばちゃん、ネコがいて家はいつもにぎやかだったので、特別、うちがひとり親と思ったことはありません。父親参観日もじじが来て、不思議はなかったです。
初めて違うと意識をしたのは、小学1年生で友達に「おまえの父さんはどこにいるんだ」と言われた時。自分はハーフなので、「半分人!」とか言われることもありました。
自分は何人?パパはいるの?と思って、お母さんに聞いても「お月様だよ」とか「戦争で死んじゃったんじゃないかな~」とか言うので、よくわからんと思っていました。でも、満月の夜にはお月様に話しかけたりしていました。
小学4年生の時、学校の授業で「先祖のルーツ」を探る宿題が出て、改めて聞いたら初めてパパの国のことを話してくれ、うれしかった。いつか行ってみたいなぁと思ったり、どんな人かと興味もありました。でも一切、そんなことはママには言わなかったけど。
小学5年生の時、ママの“友達”として一緒に遊んだ外人さんが、実はお父さんだと告白されて、もう本当に息が止まるくらい驚きました。
「今まで伝えられなくてごめんなさい」と言われて、「あ…別にいいです」と答えましたが、次にしたことは、お母さんをぶって「ママのバカ!どうしてもっと早く言ってくれなかったの」と言いました。
ずいぶんと子ども扱いされていたのだなあと、それが悔しかったというか、お母さんが本当のことを話してくれなかったことはダメじゃん!って。子ども(わたし)には「ウソをついてはいけないよ」とか言ってきたくせに!(笑) ママのアホ!
一緒に暮らしたこともないし、いきなり現れたお父さんを特別どうとか思いませんが、自分のルーツがわかって安心はできました。あと、お父さんという人が生きていたことと、あちら側の親類にいとこがたくさんいるらしいことは、うれしくなりました。
将来は海外で働きたいとか、選択肢が広がったことは、お母さんがお父さんに会わせてくれたおかげなので、そこは素直に感謝してあげています。
頼りないですが、私の自由にさせてくれるお母さんが大好きです。顔が似ていないので、友達には「キミは里子なの?」と言われていますが(笑)。
(体験者:Sちゃん)