子どもを大学に進学させたい

高校2年生の娘が大学に進学したいと言っています。娘の希望をかなえてあげたいのですが、貯金も十分になく学費のことを考えると悩んでしまいます。

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A. 高等教育無償化の制度やそのほかの奨学金を上手に利用しましょう

親として子どもの夢や希望は応援してあげたいけど、お金が用意できそうにないと、とても悩みますよね。一方、家庭の経済状況を心配して、お子さんが大学進学の希望を伝えられなくてあきらめたという声を聞くことがあります。お子さんが希望を伝えてくれた勇気も素敵ですね。

まずお伝えしたいのは、お金がないからといってあきらめなくてもいいということ。学費は高等教育無償化(修学支援新制度)やそのほかの奨学金(貸与)などを利用して用意し、進学する方法があります。

まず、学費だけで、公立の大学で4年間で約200万円、私立大文系では約400万円かかります。理系だともっと高いですし、医歯薬系は年数がかかります。しかし、心配しないでください。2020年度からいわゆる高等教育無償化(修学支援新制度)ができ、授業料無償化と給付型奨学金が充実しました。詳しく見ていきましょう。

<いわゆる高等教育無償化(修学支援新制度)>

住民税非課税世帯とそれに準じる世帯の子ども(生活保護世帯含む)や社会的養護の子どもで、一定の成績以上であるか、あるいは勉強の意欲が認められた場合、そして対象となる大学・専門学校等に進学する場合等の条件があります。支援の金額は世帯収入、進学先の学校の種別、自宅通学か自宅外通学かによって違います。
もっとも多くの支援を得られる場合は、住民税非課税世帯のお子さんで、自宅外通学、私立大学に進学した場合です。授業料減免が約70万円(年)、給付型奨学金が約90万円(年)援助されます。以下の図をご覧ください。

申し込みは高校を通じスカラネットで予約申込し、その後マイナンバーを提出して秋~冬に採用かどうかの通知が来る予定です。また大学等の入学後の申込もできます。

<母子父子福祉資金貸付金>

それでも足りないときにはひとり親の場合、母子父子福祉資金の就学資金を利用することもできます。自宅通学で、私立大学の場合、貸付限度額が月8万1千円で、償還期間は20年以内です。無利子です。早めに相談、申し込みをしたほうがいいでしょう。ただし、同じ県内にいる親族などの連帯保証人が必要になります。子どもが借りて母が連帯保証人になる、という借り方もできますが、ある程度の収入がないと難しいようです。母が借りて保証人を立てるとしても、返済のことも考えて、お子さんと話し合いましょうね。

<日本学生支援機構のそのほかの奨学金>

日本学生支援機構の奨学金もあります。第一種と第二種があり、第一種は無利子で自宅通学の場合で月額5万4千円です。在籍している学校を通じて申込み、大学入学後すぐに奨学金を受け取りたい場合は、高校3年生の5~6月ごろの予約採用を申し込みましょう。また、この奨学金受給者向けに入学月に増額し貸与をうける入学時特別増額もあります。

<入学金はどう用意する>

こうした奨学金の給付は大学入学後となります。合格後すぐに支払う入学金と授業料などは事前に準備しておかなければならないので注意が必要です。国の教育ローンなどを借り、先に支払いを済ませ、入学し、奨学金が入金された後、教育ローンを返済するようにするといいと思います。教育ローンを借りる場合も審査に時間がかかるので、早めに申し込んでおくといいでしょう。

日本学生支援機構の奨学金は子どもが借り、教育ローンは親が借りるということになります。そのほか、大学独自の奨学金や新聞奨学金などもあります。比較的学費が安い夜間部や、通信制という学び方もあるので、返済のことも考えて、子どもと話し合うことが必要です。子どもにとっても自分の将来について考える、いい機会にもなるので、親子でじっくり話し合ってください。

<生活保護を受給している世帯は、子どもだけ世帯分離>

生活保護を利用しながら大学や専門学校に進学することは、現在の運用では認められていません。生活保護利用世帯の子どもが大学や専門学校に進学するためには、生活保護を利用している親の世帯から、進学する子どもを世帯分離することが必要です。お子さんは、生活費や就学に必要な費用は子ども自身で賄うことになります。

インフォメーション

●日本学生支援機構

学校経由で子どもに案内がきて、予約申込みができる。キャンセル可能なので、お金を借りる可能性があったら、予約を。

webサイトはhttp://www.jasso.go.jp/

●日本政策金融公庫(国の教育ローン)

電話で相談可能。手続きは郵送で。
日本政策金融公庫に直接申込。奨学金のほうが利息は安い。キャンセル可能。母子家庭などに利子の優遇制度があります。

電話番号は00570-008656(月〜金:9時~21時/土:9時~17時)
webサイトはhttps://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html

●奨学金問題対策全国会議

奨学金の返済に困っているなどの相談に応じてくれます。東京都世田谷区太子堂4-7-4 セラピュアビル4階 せたがや市民法律事務所。

電話番号は03-6453-4390
webサイトはhttps://syogakukin.zenkokukaigi.net/

ためになる本や映画

教育費サポートブック しんぐるまざあず・ふぉーらむ

子どもの教育費をどう準備していけばいいか、借りるタイミングなどが詳細にわかりますし、体験談も豊富です。
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