子どもがまだ1歳のとき、我慢の限界がきて家を飛びだして実家に避難しました。
夫は離婚になかなか同意してくれず、非常識な無理難題を言ってきて心身ともに疲弊していました。
そのような状態で、子どもを連れて近くの公園に遊びに行ったときのことです。
同じくらいの年の子どもを連れたお母さんが公園で遊んでいました。最初は軽く挨拶をして、子どもの年齢を聞いて当たりさわりのない会話をしていました。
お母さんが偶然同い年だったので、ここが地元ですか? とたずねました。すると隣の中学校出身だったので、「じゃぁご実家が近いんですね」と何気なく言うと「あー、うち母子家庭なんで、母はもう再婚して遠くに行ったから実家はないんですよねー」とサラッと言われました。
自分が母子家庭で育ったことを、初めて会う見ず知らずの人に何の気なしに言うなんて……
そのお母さんに衝撃を受けてしまいました。
私は母子家庭に対して、どこか後ろめたさや恥ずかしさなどのイメージを持っていたのです。
でも、母子家庭で育つという経験は私の子どもがこれからすることであって、私には想像できないことも出てくると思いました。
そこで勇気を出してそのお母さんに今の私の現状をお話しし、これから大きくなる子どもの心が心配だと相談しました。
そのお母さんは考える間もなく「大丈夫!大丈夫!いないのが当たり前だから」と言ってくれました。ただ思春期になると、どうしてもキツい言葉を浴びせてくるかもしれない。その覚悟は前もってしておいたほうがいいと言われました。
そのお母さんもかつてはそうだったようです。ケンカや言い合いをすると「そんなんだから離婚されるんだよ」と言ってしまったことがあると話してくれました。
ただ大きくなってからは感謝のほうが大きいし、自分は母子家庭で育ったことを恥ずかしいとは思わないと胸をはって言えると教えてくれました。そしてそのおかげでこうして私とも仲良くなることができてうれしいと言ってくれました。
私も彼女が母子家庭のことを言わなければ、その場だけの関係で終わっていたと思います。
私の子どもも彼女のように育ってほしい。そして同じ境遇の彼女に「親の私には話せないようなことも話せる、子どもの相談相手になってほしい」とお願いしています。
実家に身を寄せ暗い日々を送っていた私にとって、彼女との出会いは救いになりました。
今もたくさん助けられています。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。私の友達になってくれてありがとう。
A