母子家庭の母の女性とつきあって10年以上。ひとりの女性とつきあうだけではないことがすぐにわかってきた。
一番違うのは、つきあいはじめから、子どもがいること。デートするにも、二人の予定より子どもの都合が先になる。夜のデートなんてまず無理。デートでは相手の女性以外に子どもがいる。
また、母子家庭の恋人は、家に誰かが訪ねてきても、のこのこと出ていってはいけない。それもこれも、母子家庭に男の影があっちゃいけないから。事実婚を疑われ、児童扶養手当が保留になってしまう。すべてワリカンにしているし、お互いに面倒をみても、みられてもいないのにね。
就寝中の子どもたちに布団をかけたり、普段は決して表に出てこない自分の感情の発露(イライラをもろに表にだすとか)を知ることができた。子育て中の方からみれば、お手軽な育児体験とみえるに違いないが、本当に豊かな経験だった。
何よりも、相手に子どもがいるかいないかにこだわらず恋をしたことで、素敵な恋人と出会えるチャンスを失わなかったことが、最高の選択だったと思う。
(体験者:M.Yさん)
『母子家庭にカンパイ!』(現代書館刊)より、要約して転載