夫とたくさん話し合って、子どものためにもお互いのためにも離婚することに決めました。夫も合意しています。今度、夫と養育費や財産の分与の話し合いをするので、金額や約束など決めたことをどう残せばよいか教えてほしいです。
A. 調停や公正証書などで取り決めを
子どもやお互いのために離婚することに決められたのですね。子育てしながら生活の中での話し合いでよくやってきましたね。まずは一呼吸置いて、ご自身をいたわってくださいね。お子さんも何か感じ取っているかもしれません。お子さんとの時間も大事にしてあげてくださいね。
さて、離婚後、経済的な安定のためにも、子どもの養育費を別れた親からもらうことができるかどうかは大切なことです。早く離婚したいから、養育費の取り決めはいらない、と言う人もいますが、子どもが成人するまでの長期間のことを考えると、できるだけ取り決めをすることは、今後のお子さんのためにも大切です。
養育費は子どもの権利です。子どもは一緒に暮らしていない親が支払ってくれていたんだ、と知ってうれしい気持ちになると思います。また、今はなんとか生活がなっていても、子どもが大きくなって希望すれば、高校、大学・専門学校に進学するための資金が必要となります。
養育費の額はどのように取り決めるのでしょうか。現在は、養育費の簡易算定表が、裁判所では広く使われています。これは、子どもの年齢と人数別の表に、養育費をもらう側の収入と、養育費を払う側の収入をあてはめて、例えば1カ月4万~6万円といったおよその金額が出る表です。調停では、個々の状況によってその算定額から調整する話し合いをします。
養育費は、原則として子どもが20歳になるまでもらうことができます。大学を卒業するまでの期間として22歳までもらうよう取り決める家庭もあります。将来的に強制執行できるようにしたいのならば、調停をして、家裁で調停調書をつくってもらう、話し合いの離婚(協議離婚)では公正証書(強制執行認諾文言を入れておく)にしておくことが必要です。
養育費について、専門家に相談したいときは、法テラスに相談すれば、(経済状況に応じて)無料で3回まで弁護士さんと相談できます。また、頼みたい弁護士さんに法テラスの無料相談枠で相談することもできます。これを法テラスへの持ち込みと言います。
養育費は本来離婚時に取り決めるのがベストですが、離婚後も子どもが成人になるまではいつでも請求することができます。
また別居時には、婚姻費用を請求することができます。婚姻費用は、別居後、離婚までの間の生活費として、子どもだけでなく妻の分の扶養として夫に請求できるものです。養育費とは金額が違う簡易算定表を使います。原則として請求の時点からしか支払い義務がありませんから、別居後すぐに請求したほうがいいでしょう。
そのほか、財産分与についても離婚時(または離婚後2年以内)に取り決めます。財産分与とは、婚姻後の夫婦の共有財産を離婚時に二人で分けて精算することです。2分の1が原則です。
預貯金などは分けやすいのですが、住宅ローンが残っている不動産は、住宅ローンが優先されるので、オーバーローン(市場価値より住宅ローン残高が多いこと)になってしまう場合もあります。生命保険の解約返戻金や退職金相当額なども対象になります。婚姻中に、相手方の財産、銀行口座などを把握しておくことが大切です。
用語説明
算定表
調停や裁判で養育費や婚姻費用を取り決める時に活用される指標です。今までの算定表の額は生活の実態に合わないという指摘もあり、令和元年に日弁連から新たに提案されました。夫婦双方の年収と子どもの数から養育費や婚姻費用の目安を割り出せる表となっています。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について(裁判所)
強制執行認諾文言
公正証書に強制執行認諾文言を記載すると、裁判をしなくても支払いの強制執行ができるようになります。
相談窓口
●法テラス 日本司法支援センター
法律相談できる公的な法人。経済状況に応じて、無料法律相談(3回まで)・弁護士・司法書士費用などの立替あり。
電話:0570-078374 (平日9:00~21:00、土曜9:00~17:00)
WEBサイトはこちら
●養育費相談支援センター
養育費と面会交流について主に手続きについての相談を受け付けています。(法律相談ではありません)
養育費相談支援センターは全国1カ所のため、まずは最寄りのひとり親家庭支援センターなどに相談してください。
- tel 03-3980-4108(携帯電話、PHS)
- tel 0120-965-419(携帯電話、PHS以外)
(平日[水曜日を除く]午前10時~午後8時/水曜日 午後0時~午後10時/土曜日・祝日 午前10時~午後6時[振替休日は休み])